からだ図鑑 02 / 空気と食べ物の分かれ道
のど咽頭(いんとう)・喉頭(こうとう)
のどは、鼻から来た空気と、口から来た食べ物が同じ場所を通る交差点。飲みこむたびに、からだは一瞬で道を切りかえています。
- 1日に飲みこむ回数(平均)
- 約600回
- 声帯がふるえる回数
- 1秒に100〜250回
- 甲状腺の重さ
- 約10〜20g
空気と食べ物の交差点
鼻の奥から食道の入り口までの、長さ13cmほどの通り道を咽頭(いんとう)といいます。ここは、鼻から吸った空気と、口から入った食べ物の両方が通る共通の道です。
咽頭の下で、道は2つに分かれます。前(おなか側)にあるのが空気の通り道で、喉頭(こうとう)から気管へ続きます。うしろ(背中側)にあるのが食べ物の通り道、食道です。空気は前へ、食べ物はうしろへ。この交通整理がうまくいかないと、食べ物が気管に入ってしまいます。
飲みこむ一瞬に起きていること
食べ物を飲みこむことを嚥下(えんげ)といいます。舌で食べ物をのどへ押しこむところまでは自分の意思で動かしていますが、そこから先は、からだが自動で行う反射です。
- 舌が、食べ物のかたまり(食塊)をのどの奥へ押しこむ。
- 上あごの奥(軟口蓋)と口蓋垂が持ち上がり、鼻への道をふさぐ。
- 喉頭がぐっと持ち上がり、喉頭蓋(こうとうがい)がたおれて気管の入り口にフタをする。
- 声帯もぴったり閉じて、呼吸が一瞬止まる。
- 食道の入り口の筋肉がゆるみ、食べ物が食道へ送りこまれる。
ここまでが、わずか1秒ほどのできごとです。食べ物は喉頭のまん中ではなく、その両わきにあるくぼみ(梨状陥凹:りじょうかんおう)を通って、うしろの食道へ流れていきます。人体ダイブでは、この瞬間をゆっくり再生しています。
のどぼとけに指を軽く当てて、つばを飲みこんでみてください。のどぼとけがぐっと上に持ち上がるのが分かるはずです。それが、喉頭が持ち上がって気管にフタをしている動きです。
むせるのは、からだの防衛反応
食べ物や飲み物がまちがって気管のほうへ入りかけると、からだは激しくせきこんで、それを外へ押し出そうとします。これが「むせる」です。気管や肺に異物が入らないようにする、大切な防衛反応です。
年をとると、飲みこむための筋肉や反射が弱くなり、食べ物やだ液が気管に入りやすくなることがあります。それが原因で起きる肺炎(誤嚥性肺炎:ごえんせいはいえん)は、お年よりの大きな病気のひとつです。食べるときはよい姿勢で、あわてずに飲みこむことが大切です。
声帯:声が生まれる場所
喉頭の中には、左右2枚のヒダ、声帯(せいたい)があります。息をしているときはV字形に開いていて、空気が自由に通ります。声を出すときは2枚がぴったり近づき、肺から出てくる息でふるえて音を生み出します。
ふるえる速さは、話し声で1秒に100〜250回ほど。声帯が長くて厚い大人の男性ほど低く、短くて細い子どもや女性ほど高い声になります。この音が、のどや口、鼻の中でひびき、舌やくちびるの動きで言葉になります。
声帯を囲んでいるのが甲状軟骨(こうじょうなんこつ)、いわゆる「のどぼとけ」です。思春期になると男性は喉頭が大きくなって、のどぼとけが目立つようになり、声が低くなります。これが「声変わり」です。
首のまわりの臓器
のどぼとけの少し下、気管の前には、チョウのような形をした甲状腺(こうじょうせん)があります。全身の細胞がエネルギーを使うスピード(代謝)を調整するホルモンを出す器官です。このホルモンをつくる材料はヨウ素で、昆布やわかめなどの海藻に多くふくまれています。
気管は、C字形の軟骨の輪がいくつも積み重なった、つぶれにくい管です。いつでも空気が通れるように、口を開けたままになっているのです。いっぽう、そのうしろの食道は筋肉でできたやわらかい管で、ふだんはぺたんこに閉じていて、食べ物が通るときだけ広がります。