からだ図鑑 03 / 胸の中を下る管
食道しょくどう
のどと胃をつなぐ、長さ約25cmの管。食べ物を落としているのではなく、筋肉の波で押し送っています。だから、逆立ちしていても飲みこめます。
- 長さ
- 約25cm
- 食べ物が通る時間
- 5〜10秒
- せまくなっている所
- 3か所
のどと胃をつなぐ管
食道は、のどの下から胃の入り口まで続く、長さ約25cmの管です。太さは2cmほどですが、ふだんは前後にぺたんこにつぶれていて、食べ物が通るときだけ広がります。内側には縦向きのひだがあり、これがのびることで大きな食べ物も通れます。
食道は、首では気管のすぐうしろを、胸の中では心臓のうしろを通り、背骨にそって下っていきます。そして、胸とおなかを分ける横隔膜(おうかくまく)の穴をくぐりぬけて、おなかの中の胃につながります。
ぜん動運動:筋肉の波で運ぶ
食道の壁は筋肉でできています。食べ物が入ってくると、そのすぐうしろの筋肉がぎゅっと縮み、前の筋肉はゆるみます。この動きが波のように下へ伝わっていくことで、食べ物は胃へ押し送られます。この動きをぜん動運動といいます。歯みがき粉のチューブを、うしろからしぼり出すようなイメージです。
ぜん動運動は、重力にたよらずに食べ物を運びます。そのため、逆立ちしていても、無重力の宇宙船の中でも、食べ物は胃までたどりつけます。固形の食べ物なら、食道を通りぬけるのに5〜10秒ほど。飲み物はもっと速く進みます。
食道の上のほうは、自分の意思で動かせる筋肉と同じ種類の筋肉(横紋筋)、下のほうは内臓の筋肉(平滑筋)でできています。どちらも、飲みこんだあとは自動で動いてくれます。
せまくなっている3つの場所
食道は、全体が同じ太さではありません。とくにせまくなっている場所が3つあります。
- 入り口:のどから食道に入るところ。
- 大動脈や気管支と交差するところ:胸のまん中あたりで、太い血管や気管の枝と重なります。
- 横隔膜を通りぬけるところ:胃のすぐ手前です。
大きな錠剤やよくかまなかった食べ物は、こうした場所で引っかかりやすくなります。薬はたっぷりの水で飲むようにいわれるのは、このためでもあります。
胃からの逆流をふせぐ門
食道と胃のつなぎ目には、ふだんはぎゅっと閉じている筋肉の門(下部食道括約筋)があります。食べ物が来たときだけ開き、通りすぎるとまた閉じて、胃の中身が食道へもどらないようにしています。
この門がゆるんで、強い酸をふくむ胃液が食道へ逆流すると、胸のあたりが焼けるように感じる「胸やけ」が起こります。食道の壁は胃とちがって酸から身を守るしくみが弱いため、くり返すと炎症を起こすことがあります(逆流性食道炎)。食べてすぐに横になると胸やけしやすいのは、胃の中身が逆流しやすくなるからです。
心臓のすぐうしろを通る
胸の中で、食道は心臓のすぐうしろを通ります。人体ダイブで食道を下っていくと、前の壁がドクン、ドクンと動いて見えるのはそのためです。
食道と心臓がこれほど近いことは、医療にも役立っています。病院では、食道に細い超音波の装置を入れて、心臓のうしろ側から、その動きをくわしく調べる検査が行われることがあります。