からだ図鑑 05 / 消化管
胃い
のび縮みする筋肉の袋。強い酸で食べ物をとかし、こねまぜて、ドロドロのかゆ状にしてから、少しずつ腸へ送り出します。
- 食後の容量
- 約1.5L
- 胃液の強さ
- pH 1〜2
- 食べ物がいる時間
- 2〜4時間
J字形の、のび縮みする袋
胃は、おなかの左上、横隔膜のすぐ下にある、アルファベットのJのような形をした袋です。各部分には名前がついています。
- 噴門(ふんもん):食道とつながる入り口。
- 胃底(いてい):入り口の横で、上にふくらんだドーム。飲みこんだ空気がたまりやすく、げっぷのもとになります。
- 胃体(いたい):胃のまん中の、いちばん大きな部分。
- 幽門(ゆうもん):十二指腸へ続く出口。筋肉の門で、開いたり閉じたりします。
からっぽのときの胃は小さくしぼんでいて、内側には大きなひだが寄っています。食べ物が入るとひだがのびて広がり、食後には約1.5Lもの量が入るようになります。
胃液:塩酸と消化酵素
胃の壁からは、1日に1.5〜2.5Lもの胃液が出ています。胃液にふくまれる胃酸は塩酸をふくむ強い酸で、その強さはpH1〜2。レモン汁よりもずっと強い酸で、肉や魚のかたいタンパク質もほぐしてしまうほどです。
胃酸には、2つの大きな役わりがあります。ひとつは、食べ物といっしょに入ってきた細菌をやっつけること。もうひとつは、肉や魚などのタンパク質をほぐして、消化しやすくすることです。そこへ胃液の消化酵素ペプシンがはたらいて、タンパク質を小さく切り分けていきます。
炭水化物や脂肪の消化は、胃ではあまり進みません。それらは次の十二指腸と小腸で、本格的に分解されます。
胃が自分をとかさないわけ
こんなに強い酸を出しているのに、なぜ胃は自分自身をとかしてしまわないのでしょうか。
そのひみつは、胃の壁の表面をおおう、ねばねばした粘液です。粘液は厚いバリアになって、酸が壁に直接ふれないようにしています。さらに、粘液の中には酸を中和する成分もふくまれています。人体ダイブの胃の中で見える、ねばねばの糸がこの粘液です。
それでも、胃の壁の表面の細胞は少しずつ傷つくので、数日で新しい細胞に入れかわっています。ストレスや薬などでこのバランスがくずれると、胃の壁が荒れて、胃炎や胃潰瘍(いかいよう)になることがあります。また、強い酸の中でも生きられる「ピロリ菌」という細菌が、胃炎や胃潰瘍の原因になることも分かっています。
こねる、まぜる、少しずつ送る
胃の壁には、縦・横(輪)・ななめの3方向の筋肉の層があります。このおかげで胃は、ぎゅっとしぼったり、ねじったりと、複雑な動きができます。
食べ物が入ると、胃には出口へ向かう波のような動き(ぜん動運動)が、1分間に約3回のリズムで起こります。この波で食べ物は胃液とこねまぜられ、少しずつドロドロのかゆ状になっていきます。そして出口の幽門が少しだけ開き、かゆ状になった中身を、少しずつ十二指腸へ送り出します。
食べ物が胃にいる時間は、ふつう2〜4時間。ただし、あぶらの多い食べ物は長く、飲み物はすぐに通りすぎます。人体ダイブで食べたラーメンは、スープのあぶらが多いので、胃に長めにとどまりそうです。
おなかが鳴るのはなぜ?
おなかがすいて「グー」と鳴るのは、胃や腸が強く縮む音です。食べ物がしばらく入ってこないと、胃と腸は、中に残ったものを掃除するように、強い縮みの波を起こします。このとき、中にたまった空気や液体が押し動かされて、音が出るのです。
また、胃がからっぽになると、胃からは「グレリン」というホルモンが出て、脳に「おなかがすいた」と知らせます。空腹を感じるしくみにも、胃が関わっているのです。