からだ図鑑 04 / 胸の中
心臓と肺しんぞう・はい
食道が下っていく胸の中は、ろっ骨のかごに守られた「命のエンジンルーム」。心臓が血液を送り出し、肺が酸素を取りこんでいます。
- 心臓が動く回数
- 1日 約10万回
- 呼吸の回数
- 1日 約2万回
- 肺胞の数
- 約5億個
ろっ骨のかごに守られた部屋
胸の中の空間は、背骨、胸のまん中の胸骨(きょうこつ)、そして左右12対、合わせて24本のろっ骨でかこまれています。この骨のかごを胸郭(きょうかく)といいます。中には心臓と肺という、生きるために一瞬も止められない臓器が入っています。
胸郭の底には、ドーム形の筋肉の膜横隔膜があり、胸とおなかを分けています。食道はこの横隔膜をくぐって、おなかの中の胃へ向かいます。
肺:息を入れかえるスポンジ
肺は、胸の左右にある、スポンジのようにやわらかい臓器です。右の肺は3つ、左の肺は2つの部屋(肺葉:はいよう)に分かれています。左の肺が少し小さいのは、心臓が左よりにあるぶん、場所をゆずっているからです。
鼻や口から吸った空気は、気管を通り、左右の気管支に分かれて肺に入ります。気管支は木の枝のように何度も分かれて細くなり、その先には小さな袋がぶどうの房のようについています。
肺そのものには、自分でふくらむための筋肉がありません。横隔膜が下がり、ろっ骨のあいだの筋肉が胸を広げることで、肺がふくらみ空気が入ってきます。大人は1分間に12〜20回ほど、1日に約2万回も呼吸をしています。
肺胞:酸素と二酸化炭素の交換所
気管支の先についている小さな袋が肺胞(はいほう)です。直径は0.1〜0.2mmほどしかありませんが、左右の肺で約3億〜8億個、平均すると約5億個もあります。すべて広げると、その面積は70〜100㎡以上、学校の教室1〜2つ分ほどにもなります。
肺胞のまわりは、髪の毛よりも細い毛細血管が網のように包んでいます。肺胞の中の空気から血液へ酸素がうつり、血液からは二酸化炭素が肺胞へ出ていきます。息をはくと、その二酸化炭素がからだの外へ出ていくのです。
心臓:休まずに動くポンプ
心臓は、胸のまん中からやや左よりにある、にぎりこぶしほどの大きさの臓器です。重さは250〜300gほど。全体が筋肉でできたポンプで、1日に約10万回も縮んだりゆるんだりして、約7,000Lもの血液を送り出しています。
心臓の中は、右心房・右心室・左心房・左心室の4つの部屋に分かれています。
- 右側:全身から戻ってきた血液を受けとり、肺へ送る。肺で二酸化炭素を捨てて、酸素を受けとる。
- 左側:肺から戻ってきた酸素たっぷりの血液を受けとり、全身へ送り出す。
全身へ血液を送る左心室は、いちばん大きな力がいるので、壁がいちばん厚くなっています。部屋の出入り口には4つの弁があり、血液が逆流しないようにしています。胸に耳を当てると聞こえる「ドッ、クン」という音は、この弁が閉じる音です。
血管:動脈と静脈
心臓から血液を送り出す血管を動脈、心臓へ血液を戻す血管を静脈といいます。いちばん太い動脈は、左心室から出る大動脈で、直径は2.5〜3cmほど。心臓から上に出たあと、ステッキの持ち手のようにぐるりと曲がり、背骨にそって、食道のすぐ近くを下っていきます。
図鑑や人体模型では、動脈を赤、静脈を青でえがくのがお約束です。ただし、本物の静脈の血液が青いわけではなく、酸素が少ないぶん少し暗い赤色をしています。また、肺へ向かう肺動脈は、「動脈」という名前なのに酸素の少ない血液を運ぶので、図では青くぬられることが多い、ちょっと変わった血管です。
毛細血管までふくめた全身の血管をすべてつなげると、とても長くなります。よく「約10万km(地球2周半)」といわれますが、これは100年ほど前の大まかな計算がもとで、実際はもっと短いと考える研究者もいます。
胸腺と横隔膜
心臓の上、胸骨のうしろには胸腺(きょうせん)があります。からだを病気から守る免疫の司令塔「T細胞」を育てる、学校のような器官です。思春期ごろにいちばん大きくなり、大人になると少しずつ脂肪に置きかわっていきます。
横隔膜は、肺の下にあるドーム形の筋肉です。縮むと平らになって下がり、肺がふくらんで息が入ってきます。ふつうの呼吸の大部分は、この横隔膜の働きによるものです。しゃっくりは、横隔膜が自分の意思と関係なく、けいれんするように縮むことで起こります。